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よくあるQ & A

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よくあるQ & A 消費者向け

1. Q
千枚漬を買いましたが、カブが糸を引いています。食べられるでしょうか。
A.
千枚漬けはスライスした大カブを塩漬にした後、昆布・砂糖・酢などの調味料を使って、本漬けします。昆布が熟成することで粘りを持つので、糸は食べごろで一番おいしい時です。

2. Q
納豆を買ったら漬物が添付されていました。漬物は、納豆に合うのですか。
A.
納豆に刻み青高菜漬、近江漬、しば漬を添付したものが、市販されています。納豆に刻みネギや、擂りニンニクを入れる例は多いのですが漬物はそれ以上に、納豆の味を引き立てます。前述の漬物や菜の花漬がよく合い、刻み青高菜漬や近江漬は漬物の量を納豆以上にしてもおいしいです。面白いのは、しば漬のように、すっぱい漬物で、糸ひきが悪くなるので、関西の方には良いでしょう。

3. Q
刻んだ大根、胡瓜などの混ざった浅漬を買いますが、これまでの大根と違って、甘酸っぱく、よく出来ています。何か工夫がありますか?
A.
大根の塩漬けを、液糖に浸しておくと脱水されてしわがより、“砂糖絞り大根”というものになります。この大根はたくあんの鮮度の良いもののような風味です。この大根を刻んで、胡瓜・カブなどと混ぜると全く新しい味を示すのです。

4. Q
金沢の冬の旅で「カブラ寿司」を買いました。麹とカブの甘さと油の乗ったブリの味はすばらしかったのですが、東京では買えません。何故でしょうか?
A.
野菜と魚介類を混ぜると調味料では出せない味を作ります。ただ魚介類は鮮度の良いものを使って、早く食べ、万一の食中毒を防ぐ必要があります。北陸の長年の製造で衛生観念の発達した企業が作り、現地で早く売ってしまいます。このため通信販売か、石川・富山物産展のような催事以外では、都会で手に入りません。

5. Q
刻んだ茄子の浅漬けが売られています。我が家で漬けると茄子はたちまち褐色に変色してしまいます。どこが違いますか?
A.
最近、新しく開発されたテクニックで茄子を刻むそばから、澱粉系の炭水化物を溶かした液に投入して、刻んだ茄子の表面をコーティングしてしまうのです。褐色の原因物質“ポリフエノール”が酸素を遮断されて、酸化しないようになっているので白く保てます。これから茄子を混ぜ込む刻み漬が増えて楽しみが増します。

6. Q
緑色の美しい「メハリ寿司」を作りたいのですが?
A.
店で新高菜漬という緑色の高菜漬を買ってきます。白いご飯を炊きます。高菜漬の葉茎の根元に近いところを少し切り取り、ごく細かく刻みます。これを白い飯に混ぜ、大きな葉を使っておにぎりを包み込めば出来上がりです。メハリ寿司は、大きく作って口の中にいれるのに、大口をあいて目をむいて食べるところから来ていますが、50gくらいのおにぎりが適当でしょう。

7.Q
キムチには、白菜キムチの素をかけただけのものと、大根・ネギ・人参などの入ったものがあります。両方、買っていますが、食べ分けたほうがよいのでしょうか。
A.
白菜漬にキムチの素を加えたタイプのキムチは、昔、日本が温暖でかつ工場に冷蔵庫のない時代に、苦労して開発したもので、結構よい味を示します。最近の韓国からの輸入キムチも、このタイプが多いのです。冷麺やビビンバに加えたり、キムチチゲにはよく合います。大根・ネギなどの入ったタイプは本格キムチといって、韓国の家庭漬キムチから、魚介類を除いた形で、ご飯のおかずには最適です。刺身用のイカソーメンを混ぜてやると、素晴らしく旨くなります。

8.Q
韓国料理店に行くと、白菜キムチ、カクテキ、オイキムチが三点セットで出てきますが、カクテキは、大根がガリガリして美味しくありません。もう少し日本的なカクテキは作れませんか。
A.
カクテキは硬い韓国大根を、サイコロ状に切って、唐辛子をまぶしてから塩漬して作ります。韓国では、このガリガリが喜ばれるのです。日本では最近、浅漬大根を砂糖に浸した『砂糖絞り大根』を刻んだ、カクテキが売られ出しました。一寸甘くてカクテキのイメージを変えていますから食べてみてください。

9.Q
料理学校で、サワークラウトの作り方を習いました。よくできたと思うのですが、発酵臭が強く旨くありません。美味しい食べ方を教えてください。
A.
ヨーロッパの乳酸発酵漬物は、日本人には合いません。サワークラウトは欧州でも、アルザス風シュークルートなど料理に使います。サワークラウトを、一寸ゆがいて、ソーセージの皿のわきに置くとか、クリームシチューを作るときの酸味料に使うと美味しいです。

10. Q
漬物は発酵食品だと、家政科の講義で習いましたが、白菜漬などは袋の中の注入液は透明です。発酵菌はどうなったのでしょうか
A.
漬物は最近の傾向で、美しくフレッシュ・アンド・フルーティのお新香感覚のものが、喜ばれています。乳酸発酵はできた酸が、野菜のグリーンの葉緑素を、壊して黄褐色のフェオフィチンにしてしまいます。汚くなるのです。加えて、乳酸菌が作る酢酸が、種々の発酵臭を包み込んで、蒸発して悪い臭いをもたらします。このため、現在の漬物は『発酵切捨て』の立場をとっています。おたずねの白菜漬は発酵しないように、冷蔵庫で大切に作っているので、菌が生育せず、注入液も透明なのです。

11.Q
旅先の旅館で出される小梅漬は、歯応えがカリカリして美味しいのですが、家で作ると柔らかくなってしまいます。うまく作れますか。
A.
小梅漬を硬く漬けるには、二つの注意があります。5月下旬の未熟の梅を収穫する事、6月に入って完熟した梅は、絶対に硬くなりません。もう一つは、野菜の中にある硬さを保つぺクチンというものが成熟、もしくは酸に合うと傷がついて、柔らかくなります。漬け込み時に、カルシウムを加えてぺクチン酸カルシウムというものに、変えておくと硬さを保ちます。

12. Q
梅干が、毒々しい赤い色に染まっていますが、大丈夫でしょうか。
A.
梅干をシソで着色すると、合成着色料で染めたより更に、華麗な赤になります。漬物の日本農林規格(JAS)では、シソを必ず使う事になっています。

13.Q
梅干に賞味期間が書いてあります。梅干はいくらでも長く持つと聞いていますが、賞味期間が必要ですか。
A.
すべての食品が健康上や、労働量の減少による食塩要求量減少のため低塩になっています。梅干も低塩になっているので、美味しく食べるために、賞味期限が必要なのです。梅干は6月中旬に収穫した梅を、塩漬にして1年間食べてゆきます。このため食塩を十分に使って漬けるので、たまに見かける塩のふいた梅干は食塩25%、酸6%で単に塩辛く酸っぱいだけで風味を感じません。そのため今の梅干は、流水で塩を多少抜いてから、軽く調味した調味梅干になっています。食塩が8〜12%、酸2.5〜3.5%と食べやすくなっていますが、あまり長く置かない方がよいのです。それで賞味期限があるのです。

14. Q
家に老人が居て,歯が悪いのにたくあんを食べたがります。入れ歯で食べるたくあんがありますか。
A.
たくあんには、干してしわだらけになった干したくあんと、塩漬をして脱水した塩押したくあんの2種あります。塩押したくあんには柔らかいものもありますから、試してみてください。べったら漬も塩押したくあんと製造法が似ていて、更に柔らかいので、これは厚く1cm位に切って、これを細切りしてあげてください。干したくあんは、今の製造法が史上最高の味とも言える良品ですから、厚さ1mmに面倒がらずに切ってあげ、かつおぶしを上に山のようにかけてごらんなさい。お年寄りは喜びますよ。

15. Q
近頃、樽に入った対面販売のたくあんを見ませんが作っていませんか。
A.
袋入りたくあんは量販店で売りやすいのと、お客さんが価格を見て買えるわけです。ただ袋入りたくあんは80度20分の殺菌をしているので、熱が加わっただけ風味は一寸落ちます。樽取りは美味しいけれど販売に手間がかかり、お客様も価格不明で手を出しにくく減りました。都会のデパートには樽取りのたくあんを売っています。

16.Q
たくあんの白いものを売っていますが、漂白しているのでしょうか。
A.
大根を塩漬すると辛味成分が、分解して長く漬けておくと黄変します。この色素は光線で分解するので、量販店の棚で蛍光燈にあたると、表は白く裏は黄色となって見合が悪いのです。今のたくあんは冷蔵庫で漬けるので黄色色素形成の化学反応の進行が遅れて白いまま長く保てます。袋に入れても白いのです。

17. Q
福神漬はなぜ、カレーライスに合うのですか。違う漬物でも合うものがありますか。
A.
カレーライスは印度では野菜をすりつぶして甘酸っぱくした『チャッネ』が加えられます。日本郵船の欧州航路でカレーライスに福神漬を加えたのが、最初といいますが、要するに福神漬の甘さが値打ちなのです。甘酸っぱければよいので京都のハリハリ漬、鹿児島のつぼ漬は甘酸を兼ね備えているので、福神漬を加えるより旨い程です。甘酸っぱさからラッキョウ漬も合いますが、この場合は混ぜないで時々つまむとよいでしょう。

18. Q
山牛蒡醤油漬を買うとたまに雲母のような透明な結晶が出ています。食べても大丈夫ですか。
A.
山牛蒡には、イヌリンという澱粉に似た炭水化物を含んでいます。山牛蒡醤油漬を袋詰にして、80度20分の加熱殺菌をすると稀に、雲母状のイヌリンの結晶が出て来ます。食べても全く無害ですが見てくれが悪いので、山牛蒡を一回80度で湯がいてイヌリンを出してしまってから製造すれば結晶は出てきません。今はこのように作っています。

19. Q
ザーサイの袋詰を買ってしばらくして、食べたところ油臭さがしました。これは食べても大丈夫ですか。
A.
ザーサイは四川ザーサイといってスパイスを使って、塩漬したものを原料とする場合と、塩漬ザーサイというスパイスを使わないものを原料とする2種類があります。四川ザーサイを使って油炒めをするとスパイスが油の酸化を防いで、長く安定しますが、塩漬ザーサイはスパイスがないので油が早く酸化して油臭くなります。刻み高菜の油炒め、メンマの油炒め、山クラゲの油炒めと漬物工業は、種々の惣菜漬物を売っていますが油を使ったものは酸化しない早いうちに食べてください。

20. Q
山クラゲとはどんな野菜ですか、種苗会社のカタログにないようですが。
A.
山クラゲは中国安徽省の産で『貢菜』といって王様に献上した菜だといわれています。最近、漬物の有力企業が油炒めを本格的にPRして売っていますし、干したものが中国から輸入されて量販店に並んでいます。貢菜の本体はレタスでスティームレタス、すなわち立ちチシヤの事です。

21.Q
お寿司屋さんで出されるガリ〈甘酢生姜〉にはピンク色のものと、着色しているものがありますが、どう違いますか。
A.
ガリには合成着色料赤色106号で染めたものと、白ガリといって着色しないものがあって、近頃では白ガリが増えています。ただ見た目のよい着色物も、寿司の合間に食べると食欲をそそります。ガリの着色料は全体の0.0005%で、1トンのガリに対し5gしか使っていません。漬物の着色の中で最も使用量の少ないものです。

22.Q
美味しそうな紫赤色のワインラッキョウが好きです。食べて自動車を運転できますか。
.
運転はお勧めできませんが、ワインラッキョウのアルコール量をお知らせしますので、ご自分で判断してください。ワインラッキョウのアルコールは2%になります。したがって大玉8個のワインラッキョウ100gを食べると2mlのアルコールに相当します。これはビール40mlに相当します。缶ビール1缶の10分の1です。

23.Q
味噌漬がおいしいので、時々買いますが祖父は昔の味噌漬はこんな物ではなかったといいます。本当でしょうか。
A.
味噌は味噌汁にするとき、飽きのこないおいしさにするため、大豆の分解を抑えて旨味のもとのアミノ酸を少なくしています。味噌それ自体はまずいのです。そして食塩が12%もあります。今の味噌漬は味噌と醤油類を混合し、砂糖を加えた漬床に何回も漬けて低塩で旨い漬物にする努力をしています。市販の味噌漬は昔に返れと言いますが、味噌自体の食塩12%、糖分12%では、食塩12%糖分12%の味噌漬しかできなく、その高い塩味で甘さも隠れてしまって不味いのです。昔に返ったら、味噌漬はお茶漬け等に用いるしか、我々のノドは通りません。

24.Q
ワサビは一本1000円もするのに、ワサビ漬は比較的安いと思います。本当にワサビを使っているのでしょうか。
A.
ワサビ付けの日本農林規格(JAS)は、葉柄、根茎を合わせて35%以上と決められています。市販の上級品で葉柄を刻んだもの20%、根茎を刻んだもの15%、並物で葉柄10%、根茎5%というところです。ワサビを使っていないのではと、ご心配のようですが、ワサビ漬は主根に限定せず脇にでた小さな横根とその葉柄も使っているので、コスト的にも合うのです。よくもっとワサビを使えと言う声も聞きますが、葉柄と根茎50%、酒粕50%で作るとワサビがボソボソして、返ってうるさいのです。

25.Q
ワサビ漬を買って少し置くと、辛味がなくなってしまいます。辛味を持たす方法を教えてください。
A.
ワサビの辛味は辛子(ガイシ)油、すなわちアリルイソチオシアナートです。この辛味は揮発性で飛散しますが、辛味が落ちるのは水に合うと分解されるからです。酒粕中の水が原因です。ですから缶詰のように密閉して飛散を防いでも駄目です。早く食べるのが一番、ただ多くあれば、冷凍しておく方法もありますが、辛子油は油の一種ですから冷凍では油が酸化して味が悪くなります。これもなるべく早く食べてください。

26.Q
山海漬を食べたら数の子が多くとても美味しく思いました。家で作れませんか。
A.
山海漬は酒粕の熟成が面倒です。奈良漬を作る要領で、焼酎を加えて踏み込み熟成するのです。その上、家庭で数の子を買うと高価です。山海漬は、数の子を30〜60%使うので、大変に高くなってしまいます。山海漬業者は苦労して、安価な数の子を輸入する努力をしてよい製品にしています。山海漬は市販品を買う事をお勧めします。

27.Q
昔読んだ本に、漬物は高塩で添加物だらけと書いてありました。まだ添加物をたくさん使っていますか。
A.
幸いといおうか、日本人は労働量の減少で、食塩要求量が減り、ラーメンの汁のように稀釈して500mlも飲むという例を除いて、大抵の加工食品は消費者のノドを通らないので、低塩になっています。浅漬、菜漬で食塩3%、たくあんで4%というと、もうノドを通りません。この低塩化のおかげで食品添加物も大幅に減っています。たくあんの例を見ても、冷蔵庫で漬けるので、1年中6%の塩度で保存できるので、以前のように、15%の塩度で漬けて4%の製品を作るため、落差11%の食塩を流水で除いて甘味を流してしまうということもなくなり、流水脱塩が不要になり、大抵の天然の風味が残って、調味料の大幅減につながりました。また冷蔵庫で、たくあんを作ると、化学反応が遅れて、白く保てるので、合成着色料も不要になりました。加えてプラスチック包装で、加熱殺菌をするので、合成保存料もカットできるようになりました。たくあんで使う添加物は、0.2%の化学調味料くらいでしょうか。これも除こうと思えば除けるのです。

28.Q
漬物を買うと表示に酒精と書いてあります。酒精とは何でしょうか、食べても安全でしょうか。
A.
酒精とはアルコールの事です。最近の研究では、アルコールは食品の旨味を改善するといわれて、製パンにまで使われています。漬物でも、福神漬・たくあんなど甘い漬物では、大幅に味をよくするので全体の1%、浅漬・菜漬類では風味改善と低塩化での日持ち延長ため、0,5%が加えられています。

29.Q
漬物に虫が入っていたと、新聞に書いてありました。気持ちが悪いので注意してください。
A.
言い訳でなく、無農薬栽培が増えて、虫が野菜につく可能性は増えています。昔から、枝豆と栗の虫は、誰も文句を言わず捨ててくれますが、他の野菜では、虫は認知されていません。白菜漬では、洗浄時の葉茎を1枚1枚手もみで、虫がいれば除いていますし、茄子では、虫が飛来して針を刺して行ってしまうと、果肉中で孵化してご迷惑をかける事になります。虫が大きくなって、膨れていれば分かるのですが、小さいと1個1個選別しても、はっきりとは分かりません。最近、レントゲンの機械も研究が進んだので、500万円ぐらいしますが、導入が始まっています。ちなみに、金属は金属探知機、毛髪はしっかりとした保護帽や、手首・足首のしっかりしまった着衣で防いだ上に、数本の回転ブラシの上を通して、万一入っても除けるようにしています。異物混入率は、ppm単位すなわち100万個に、1〜2個なのですが、更に“0”に近づける努力をしています。

30.Q
白菜漬で0−157中毒が起こったと聞いていますが、漬物でも中毒は起こるのでしょうか。
A.
漬物の専門業者の製品で中毒が起こった事はありません。それはHACCP〈危害分析と重要管理点方式〉という衛生システムを各企業が導入して、危険の出そうなところをチェックしていますし、動物蛋白を使わないのも理由です。これまで出た食中毒は夏場、海水が18度以上になると発生する、腸炎ビブリオが多く、料亭の板前さんが魚を切ったまな板で、胡瓜のモミ漬を作ると、まな板が魚由来で汚染していれば、胡瓜のモミ漬は3時間で腸炎ビブリオの発病菌数に達します。漬物は野菜を主として使うので、0−157の付着増殖したまま、洗いをいい加減にして漬けた時以外は、発生しません。ただ、選ばれた衛生観念の発達した企業のみが作っている魚介類を使った漬物で、ポツリヌス中毒の発生の恐れは残っています。魚介類を使った漬物は注意深く作られていますが、早く食べるに越した事はありません。

31.Q
福神漬や胡瓜一本漬をよく買ってきますが、家庭で作ってみたいと思っています。作り方のポイントは。
A.
福神漬けや胡瓜の一本漬けは、白菜や野沢菜漬のように、野菜に塩を撒いて重石をすればできるわけではなくて、野菜の出盛期に20%以上の強い塩を使って、塩蔵品の形で保存しておいて、注文に応じて塩を流水で除いて圧搾し、残った野菜組織に醤油を中心とした調味料を染み込ませたものです。そのため、まず塩蔵野菜を作る必要があります。量が少ないと塩漬したものが、乾いてしまうので、最低で一つの種類の野菜を二斗樽一本、30kgは作っておく必要があって、家庭ではここが難点となり、造りにくいと思います。村おこしや一村一品運動の農産加工で集落の方々が集まって、作ることはできます。ただ、その場合でも胡瓜一本漬のように、単品の塩蔵野菜を用意するのは楽ですが、福神漬のように大根、茄子、蓮根、刀豆、生姜、シソの葉など七福神にちなんで、7種類の塩蔵野菜を用意するのは大変かと思います。

32.Q
白菜漬を家庭で作りたいのですが、大抵は漬けても水が揚らず、軸が茶色になり白かびが生えてしまいます。どう漬ければ良いでしょうか。
A.
市販の白菜漬の塩度は、2.5%です。白菜5kgに対して、食塩125gを使って漬ける事になります。この僅かの食塩で上手に作るのは難しいのです。白菜を4つ割にして、上記の割合の食塩を散布し、落としブタをして白菜と同重量の重石を置きます。そして、漬けこむ容器の脇から白菜重量の2割くらいの2.5%食塩水〈白菜5kgに対し水1リットルに食塩25gを溶かす〉を差し水にしてやります。翌日、かなり水が揚って来ますので、白菜の上下を入れ替え、4日目に取り出してポリ袋に入れ、冷蔵庫にしまいます。こうすれば、緑・白・黄の三色対比の美しい白菜漬が作れます。

33.Q
市販の梅干は塩が低く美味で健康によさそうですが、梅干入り焼酎にすると味が強いような気がします。昔ながらの梅干は作れませんか。
A.
市販の梅干の中には、塩は低く味の強くないものも売っています。そういう物を探せばよいわけですが、見分けが付きにくいかも知れません。家庭で漬けたければ6月中旬の完熟の南高梅を3袋(3Kg)購入し容器に食塩360g〈12%相当〉を使って漬け込み、落とし蓋をして重石をします。容器の脇から焼酎(35%)200mlを注入します。翌日、水が揚るのでそのまま放置し、7月下旬の土用に外に出して、3日間干してやります。こうすると食塩16%の『何もしない梅干』が出来ます。食塩750g〈25%相当〉を使って、焼酎を注入しない方法は旧法で、これでも作れますが、干し上げると梅干の周りに塩が吹き出します。焼酎は梅を低塩で漬けてあるので、干すまでの間に白カビを生やさない為の、防腐効果のためのものです。

34.Q
家庭でたくあんを作っていますが、酸っぱくて甘くありません。袋入りたくあんのような美味しいものは作れませんか。
A.
市販の干したくあんは、晩秋の良質の大根を十分に干して、冷蔵庫に塩ぬかで漬けておいたものを加工します。この低温を利用しているために、美味しいのです。ただ3〜4月に食べきるたくあんでよければ、家庭でも作れます。11月に乾大根〈小ぶりの物〉25Kgを購入します。自分で干すのなら小ぶりの大根60Kgを買ってきて、乾燥させます。10日で歩留り40%、25Kg位に干し上がります。この干し大根を別に用意した1.5Kgの食塩と1Kgの米ぬかを混ぜた塩ぬかを作って、2斗樽〈35リットル容器〉に漬けます。干し大根は縮めるように詰めると、隙間なく漬かります。上をプラスチックで覆って、落としブタをして、大根と同じ重量の重石を乗せておきます。3〜4日で必ず水が揚るのでそのまま放置します。食べごろの、2月から4月までに食べ切ります。美味しく食べるポイントは、干したくあん4〜5本1Kgを掘り出して、水洗いして蓋付き容器に並べ、砂糖225g、化学調味料3g、25%焼酎60ml、水212mlを混ぜた液を、注入して蓋をして、冷蔵庫に2日程置きます。取り出して、厚さ1mmに切り、カツオブシを山のようにかけて食べてください。5月以降は、大型冷蔵庫が必要ですから、市販品を買ってください。

35.Q
韓国では、家庭でキムチを作るそうですが、日本でも作れるものでしょうか。やさしい方法を教えてください。
A.
市販のキムチは作るのは難しいので、韓国の家庭漬キムチを、日本風にアレンジしたものの、作り方をご紹介しましょう。生イカが入って美味しいのですが、衛生上の問題が起こると困るので、11月から3月の冬場に作って下さい。ニンニクの臭いが、外出先で嫌がられないように、週末に食べる『週末キムチ』作成スケジュールで説明します。

●水曜日 夕刻 白菜漬け込み
白菜大5個を4つ割り(10Kg)し、食塩250gを使ってポリ樽に漬けます。樽は底の長さが30cm以上あると漬けやすいです。切り口を上にして、平均に塩をまきます。落としブタをして10Kgの重石をします。樽の脇から水2リットルに塩50gを溶かした液を差し水します。

●木曜日 夕刻 白菜漬の樽を見て水が揚ってきていればそのまま、揚りが悪ければ白菜漬の上下の入れ替えます。揚り水は捨てないこと。
●金曜日 午前 薬味の作成
朝が忙しい人は、木曜日に作ってもよいです。下記の配合の野菜、生イカを切って、食塩・スパイスと桶の中でよく撹拌します。

A 大根〈千六本〉 1Kg
B 生イカ〈細切り〉 400g
C ネギ〈小口切り〉 250g
D 人参〈細切り〉 50g
E セリ〈2cm切り〉 50g
F 粉唐辛子〈韓国産〉 100g
G ニンニク〈すりおろし〉 50g
H 生姜〈すりおろし〉 50g
I 食塩 50g
合計 2Kg

★生イカはアニサキスが居ることがあるので、冷凍した物か、皮をむいた胴の部分のみを使います。
刺身用の鮮度のよいものを選別

●金曜日 午後 薬味挟み込み
白菜漬が程よく漬かっていますから、ポリ樽から取り出して、軽く水を切り、白菜の葉の間に薬味を挟んでゆきます。白菜の漬けあがり歩留りは、約80%ですから、白菜漬は8Kgできています。白菜漬8Kgに薬味2Kgを挟む事になります。4つ切り白菜漬20個なら、白菜漬400gに薬味100gを挟みます。
 
●金曜日 午後 本漬
挟み込みの済んだ白菜漬は、白菜を漬けておいた樽を洗って、その中に積み重ねて、本漬にします。味の強いものを好む方は、本漬のとき『キムチの素』を少し加えてもよいでしょう。なくても十分に旨いです。

※ポイント 食塩2.5%、韓国産唐辛子1.0%、すりニンニク、すり生姜各0.5%に全体がなれば、美味しいのです。薬味の野菜・イカは適宜調整してかまいません。
●土曜日 午前 食べる
本漬で白菜・薬味がよく混ざりあって、旨くなっています。取り出して3cm幅に切って食べます。あとは、ポリ袋に入れて、冷蔵庫にしまって数回で食べ終わるようにします。白菜10kgが多ければ全て半分にして作って下さい。

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よくあるQ & A サイエンスの部

1.Q
先日、中国を旅行していて、泡菜という食塩を使わない漬物を見ました。日本にもあるのでしょうか。
A.
野菜の細胞を、食塩の浸透圧で壊すことによって『漬かる』ことになります。しかし『漬かる』は、野菜を熱湯に浸す〈ブランチング〉ことで、細胞を壊して、そこに乳酸菌が同様に生育してくれれば、漬物になります。中国の泡菜は、この原理で作られます。日本では、木曽の王滝村、開田村に『スンキ』という、同じ原理で作った漬物があります。木曽の厳冬で、湯がいた菜に、雑菌が生えず『スンキダネ』という、前年の干しスンキを加えるとその乳酸菌が育って、酸っぱい漬物になるのです。ただ、単純に酸っぱい漬物で、旨くないので、『スンキソバ』のように、料理の酸味料として使います。新潟県長岡にも、似た物があります。

2.Q
奈良漬に、食べ頃というものがありますか。お歳暮で頂いて長く置くと、アルコールの味が鋭くなるような気がします。
A.
奈良漬は、大樽で熟成していると、クラスター〈塊り〉といって、アルコールと水が

工程図

この化学式のように結合して、水でもなくアルコールでもない状態になって、味がまろやかになると考えられます。〈赤星亮一のクラスター説〉これは、核磁気共鳴の分析でも証明されています。ところが、奈良漬を大樽から掘り出して、小さな樽に移すと、その時、空気に触れてクラスターが徐々に崩れてゆきます。お歳暮のタライ回しをすると、どんどんクラスターが減って、アルコールが独立して鋭い味になってしまいます。

3.Q
京都で子供が、しば漬を買ってきてくれましたが、グチャとしていて食べる気がしません。有名なお店で買ってきてくれたようですが。
A.
しば漬には、お子様が買ってきたような乳酸発酵の発酵漬物と、塩蔵野菜を切断・脱塩・圧搾して、醤油・化学調味料・酸を混ぜた調味液に浸した、調味漬の2種類があります。発酵漬物は、茄子・胡瓜・シソの葉の生を刻んで、食塩で漬け乳酸発酵をさせたもので、乳酸を1%以上含みます。この酸により、野菜の保護組織のペクチンが壊され柔らかくグチャとした感じになります。そして、発酵の香りも慣れないと抵抗があります。発酵しば漬は細切りにして、化学調味料・醤油をかけて暖かい御飯と食べると、香りと相まって飯どろぼうの感じがします。しかし、漬物が発酵から離れているので、発酵漬物の良さが忘れられています。そういう方は、調味漬物のしば漬を細刻して、召し上がることをお勧めします。

4.Q
浅漬の素は、なんで30分で漬かるのでしょうか。
A.
浅漬の素は、一例をあげれば、食塩9%・麦芽糖8%を含んでいます。野菜 2に浅漬の素 1を混ぜておくと、30分で漬かるのは、塩と糖分の合計が17%となり、強い浸透圧で野菜の組織を壊して『漬かる』状態にするからです。袋に入れて、少し揉んでやれば、更に早く15分で漬かります。浅漬の素は、食塩が高いので2時間も3時間も漬けておくと塩辛くなってしまいます。

5.Q
野沢菜を買って漬けてみましたが、売っている物のように美味しくありません。また高菜を栽培して漬けたら硬くて喜ばれませんでした。何故ですか。
A.
野沢菜漬の食物繊維は2.2%、広島菜漬は2.7%、高菜漬は3.9%です。この含量は、漬菜の硬さに関係しています。少ない野沢菜は、柔らかさが特徴です。漬けるとき強い重石をして水が揚ったら、重石の一部を除いてふっくらと漬け柔らかい茎と水もちを楽しみます。野沢菜漬は3〜4cmに切って食べると、持ち味が出ます。野沢菜漬がまずかったのは、重石を強くしすぎて、ぺったり圧してしまったのだと思います。逆に高菜漬は茎が硬いのです。1〜2mmに叩くように切って食べるとよいのです。広島菜漬は、食物繊維含量が中間ですから、真ん中の2cm位に切ります。漬物は切り方で、味がまるで変わります。

6.Q
梅干の種子の天神様は食べてはいけませんか。
A.

工程図

梅には、青酸と糖の結合した無毒の青酸配糖体アミグダリンが含まれています。梅が成熟すると、β-グルコシダーゼという酵素が働いて、青酸が遊離してきます。その量はご質問の天神様、すなわち、胚乳・仁で1〜2mg/100g、果肉で10〜50ppmです。この青酸は、日数あるいは月単位で減少し、数ヶ月でほぼ消失します。ただ、青酸は猛毒ですから、特に天神様は食べないほうがよいでしょう。梅・梅干の青酸の研究例は少なく、天神様を食べて、アミグダリンが胃・腸の中に入ったとき、β-グルコシダーゼが存在しているか不明です。存在していれば、胃腸でアミグダリンが分解して、青酸を遊離して危険です。多分、酵素はないと思いますが、注意する必要はあるでしょう。

7.Q
たくあんの中には、黄色く着色してある物がありますが、何故黄色なのですか。
A.
たくあんは、漬けているうちに黄色になります。大根を塩漬すると、辛味成分4-メチルチオー3-ブテニル辛子油が遊離します〈大根おろしの辛味生成と同じ〉。漬け込みが延びてくると、辛味成分は水と接触して、たくあん工場のホロフキ大根様のにおいメチルメルカブタンを放出して、水溶性のピロリジン誘導体となり(おろしを放置して、辛くなくなった状態)、これに漬け込み発酵中の微生物により、生成されて蓄積するアミノ酸トリプトファンと脱水縮合して、テトラハイドロ-β-カルボリンカルボン酸が形成されます。この物質が、黄色色素の前駆体となります。このテトラハイドロ-β-カルボリンカルボン酸は、更に漬け込みが長くなると、酸化的脱炭酸反応を経て、2つの黄色色素を形成します。一つは、カルボシキル基・チオケトン基を失った形の、テトラハイドロ-β-カルボリン誘導体であり、他の一つは、カルボリン環から更に、脱水素を受けたβ-カルボリン誘導体です。これら反応は、辛味生成以外は全て、非酵素的化学反応のため、たくあんを低温で漬けると黄変が押さえられます。またこれら色素は、光線に弱いので、店頭の棚の蛍光燈で分解されて、表は白、裏は黄というブチになり見苦しいので、黄色に着色されてきたのです。

8.Q
ニンニク漬は何故、健康によいのでしょうか。機能の例をあげて、説明をしてください。
A.
ニンニク漬のようなネギ属の植物は、健康的です。ニンニク漬以外のラッキョウ漬、本格的キムチに入っている、ネギやニラも含まれるニンニク類似の成分も健康効果を示します。特にラッキョウは食物繊維が7%もあるので、大玉8個100gを食べれば、7gの食物繊維が入り、消化系機能調整に大きく役立ちます。ご質問のニンニク漬について説明しましょう。抗菌性、血栓防止、発ガン抑制の3つの効果が研究されています。これら効果はニンニクに含まれる、S−アリルシスティンスルホキシドというアミノ酸が基本です。

  1. このアミノ酸が、ニンニクを磨砕したり漬けたりすると、細胞中のC-Sリアーゼという酵素により、アリルスルフェン酸というものに分解し、それが2つ結合して、ジアリルチオスルフィネート〈アリシン〉となり、強い抗菌性を示します。このアリシンは、更に分解すると、ジアリルジスルフィドという物になり、ニンニク特有の激臭になります。
  2. 血栓は油を食べると、栄養学的に重要なアラキドン酸という物質が、トロポキサンチンA2という物になって血小板を血管壁に粘着させる事によって起こります。これは血管の傷ついたところの修復作用の1つなのですが、血管が老化すると、たくさんできて脳血栓になりやすくなります。この血栓のもとになる血小板凝集作用を、アリシンから二次的に生成するメチルアリルトリスルフィド、アホエンという物質が防ぐのです。
  3. 発ガン防止は、最近の学説で胃がんは、ヘリコバクター・ピロリ菌によって起こりやすいといわれています。このピロリ菌を、前述の抗菌性で抑制して発生を防ぐというものから、ニンニク漬のもつ色々の硫黄化合物が、発ガン物質や遺伝毒性を持つ物質の解毒酵素を誘導し、無害にしてゆくというものまで種々あり、最新研究では、環境ホルモンのダイオキシン分解酵素の働きを助長するとの、研究もあります。硫黄化合物、これは漬物の特有の辛味や香りを作り、風味向上に役立っている物質です。そして大根、カブ、白菜、キャベツ、漬菜、ニンニク、ラッキョウ、ネギ等漬物用野菜は硫黄化合物の宝庫で、含まないのは茄子、瓜類、生姜、牛蒡くらいです。今や硫黄化合物は、あらゆる生活習慣病に著効ありと見直されているのです。21世紀は、硫黄化合物の時代なのです。

9.Q
たくあんは、匂いが強くて食べにくいのですが、あれはどんな物質ですか。
A.
今のたくあんは、冷蔵庫漬込みで匂いの生成を抑えたり、出来た臭いを真空の箱の中で脱気して取り去ったり、60度に加熱して飛散させるなどで、除去する努力をしています。昔の人のなかには、このたくあんの匂いに郷愁を感ずる人もありますが、大勢は除去に賛成しているようです。匂いは、皆様ご存知の大根おろしの辛味成分が分解、たくあん熟成中にできるのです。

工程図

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