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漬物と健康

漬物は低塩になりました。野菜の風味が現われ出て史上最高の味になっています。

漬物の健康性、薬食、機能性

「食生活の疲れ」をいやして食欲増進

市販加工食品、レストランの料理、テレビ、雑誌の料理教室とも最近は一口食べたときの旨さ、すなわち「先き味」が重視され、そのための油脂過剰、濃厚調味があふれています。そして家庭料理まで昔のご馳走の豚かつ、すき焼、ビーフシチュー、マーボ豆腐などが何の疑いもなく毎日の食卓に並びます。 「食生活の疲れ」です。古く菅原通済、大仏次郎、獅子文六のような方々から日本に本格的フランス料理を移入定着させた辻静雄に至るまで皆さん一様に「ああ、漬物で白い飯を喰いたい」と語っています。 漬物は健康性の維持と嗜好の変化で「塩辛いものはノドを通らない」ため低塩になり、それに附随して低温製造により野菜本来の明るい色調、新鮮な野菜の香気が確保され、袋の中の注入液は透明、清澄になっています。 緑、黄、白の三色対比の白菜漬、四回の冷蔵工程を経て仕上がる野沢菜漬、調味、包装後ただちに冷凍の広島菜漬、高菜漬などの美しいグリーン、新鮮な穫り立て茄子を使い皮は紫赤色、中は真っ白の茄子の浅漬と明るい外観を保つ調味浅漬、菜漬群とすべて食欲増進につながります。たとえば野沢菜漬、茄子浅漬そして千枚漬の緑、紫赤、純白の三色を小皿に盛って病院食に出したときの患者さんの食欲増進度を想像したことがありますか。この三点の合計が50gあっても体内に入る食塩量は1g、回復は著しいはずです。 「生きている感覚」の漬物の生命は野菜の持つ天然色素と香気成分です。その香気をそのまま提供する意味で付けられたのが「お新香」なのです。

漬物の持つ食物繊維の消化系機能調整

発ガン物質の最近の研究では2段階説というものが有力になってきました。イニシエーター(始動)と言われる細胞DNAと結合して遺伝子障害をつくり正常細胞をガン初期化細胞に変える物質、プロモーター(促進)といわれるイニシエーターによって出来た休眠中のガン初期細胞を刺激してガン細胞に変える物質、この2段階の関与物質によってガンになるのです。発ガン抑制とはこのイニシエーターとプローターの物質を抑え込む事をさします。外食産業で「漬物」からサラダえの切り替えが行われてから日本人の大腸ガンが増えています。大腸ガン防止を始め人間の消化系機能調整には食物繊維が著効を持つことは知られていますがラッキョウが甘酢漬5〜6個(70g)で食物繊維が5gも摂れ食塩は僅か1gしか体に入らないという事実は全く知られていません。漬物の食物繊維含量を表3に示します。

表3 漬物の食物繊維含量

牛蒡醤油漬 10.0%
ラッキョウ甘味漬 6.6%
干したくあん 4.3%
高菜漬 3.9%
茄子一本漬 3.7%
福神漬 2.9%
塩押したくあん 2.8%
胡瓜一本漬 2.7%
広島菜漬 2.7%
茄子浅漬 2.3%
野沢菜漬 2.2%
白菜漬 1.3%
胡瓜浅漬 0.9%
農水省、東京農林水産消費技術センター分析

食物繊維の効能の第一は大腸ガン等の予防です。これは3つに分けられます。第一は食べた有害物質を吸着して排泄すること。有害タール色素をネズミに与える時、牛蒡繊維を加えてやるとその1群はガンがでず、加えなかった1群は全てガンになったと言う有名な実験があります。油脂は加工食品にするとすぐに酸化して過酸化物をつくりますし、新しい油脂でも体内に入ると活性酸素によって酸化され同様に過酸化物になります。この過酸化油脂を食物繊維は吸収して排泄してしまいます。第2は食物繊維を多量に摂ると腸を刺激して活発に働き排泄速度を速めます。すなわち有害物質が腸壁粘膜に触れる時間を短くします。ネズミの耳に有害タール色素をこくめいに毎日塗ってやると皮膚ガンの発生する事は周知の真実です。大腸ガンが最も発生しやす宿便になるS字結腸と直腸を食物繊維は便を速やかに通過させるのです。第3には食物繊維は腸内細菌のビフィジス菌の発育を助け有害なウエルシュ菌の発育を抑えます。大腸ガンの最も強いプロモーターは腸内における油脂の消化の功拙でうまくゆかなくてできる発ガン物質によると言われています。油脂を摂る限り食物繊維により良い腸内細菌群になっていないと問題です。油脂の消化を助けるための胆のうから胆汁酸が出てきます。この胆汁酸は食物繊維による腸内細菌の助けによって油脂を正常に分解してくれます。ところが食物繊維が少なくウエルシュ菌が多いと油脂を消化する胆汁酸の働きが悪くなり発がん物質3-メチルクロールアンツーラン類似化合物ができ大腸を刺激するとともに腸壁から血液に入って全身に回って臓器にガンを作ります。食物繊維の効能は以上の3つが重要ですがこの他便秘の予防、糖尿病の血糖値の急激上昇の抑制、血液中のコレステロールの上昇抑制による動脈硬化防止の働きもあります。食物繊維の必要量は1日20〜30gといわれています。日本人は12gしか攝っていないので食欲増進の茄子浅漬、新高菜漬を食べたり納豆に刻み高菜漬や近江漬を混ぜて食べるというように食物繊維を取る努力をする必要があります。

漬物の持つ抗菌性で病原菌の抑制

コレラやO-157が話題になると梅干が売れます。梅は完熟すると大小をとわず5〜6%のクエン酸、リンゴ酸を含みます。この有機酸が胃および腸内のPHを下げ、特にふだんアルカリ側を保つ腸内PHを下げ病原菌を抑えます。野菜、果物を通じて梅干は最大の酸含量でライムの4%レモンの3%を上回り効果が大きいのです。加えて梅漬、梅干に含まれる10〜30ppmの遊離青酸が微妙に有害菌に働くことがわかっています。杏の仁が薬用として愛用され杏林大学、杏林製薬の名前があるのは、その青酸の効果で梅の仁では強過ぎるので杏の仁なのです。梅肉エキスも強い抗菌性を示します。ムメフラールという物質や微量青酸の働きです。梅と並んで抗菌性の強いのはニンニクです。ヨーロッパでは村の入口にニンニクを吊るしておくとドラキュラが来ないと言われています。ドラキュラすなわち悪疫の流行です。ニンニクはS-アリルシステインスルホキシドというアミノ酸を含み傷を付けたり磨砕すると細胞中のC-Sリアーゼという酵素が働いてスルフエン酸という物質に分解されます。このスルフェン酸は2分子が脱水縮合してジアリルチオスルフイネート(アリシン)をつくり強い抗菌性を示すのです。アリシンの抗菌性は強く大抵の微生物を薄い濃度で完全に抑えます。キムチの中の擂りおろしたニンニク、あるいは種々のニンニク漬は有効で近頃は南高梅ニンニクという二重の薬食を持つ漬物も開発されています。

ネギ属漬物の血栓防止効果

油脂を構成する脂肪酸のうち、リノール,リノレン,アラキドン酸の3つは栄養学的に重要で必須脂肪酸といわれてきました。その中のアラキドン酸はトロンポンキサンチンA2というものになって血小板を血管壁に粘着させ血栓を形成します。このことは血管内の微細な傷の修復として重要なのですが多くなると血管が詰まってしまいます。これをニンニクの抗菌性を示すチオスルフイネートから二次的に形成する臭気物質のメチルアリルトリスルフィド、アホエンなどの物質が阻害してくれます。そしてこれはニンニク臭の主体のジアリルジスルフィドの形成と同時に生成します。このような効果はニンニク以外にもネギ、ラッキョウ、タマネギ等のネギ属漬物は全てもっています。

たくあんを噛んで集中力を

日米野球を見に行くと両軍選手がガムを噛んで投球しガムを噛んでホームランを打っています。ここでのガムを噛む効果は実験的に証明されておりガムを噛むと脳の活動性が上昇、集中力が持続するのです。この他、噛む効果は口腔衛生効果、口臭除去から糖尿病由来の口腔疾患を防ぎ精神安定に役立つと言われます。そして究極の効果は知能の発達と関連しているのです。同志社大学の西岡一教授は食物に発ガン性があっても唾液が抑制するので唾液をだすため30回のそしゃくをすすめています。また、そしゃくは歯と歯の噛み合わせをよくするとともに胃の負担を軽くします。日大医学部の赤坂守人教授は「噛むエネルギーによる食物分類」を発表して最も噛む効果が出るのは「たくあん」としています。

生姜のジンゲロールの制ガン性

生姜は3世紀以前に日本に入り正倉院文書にも天平宝字2年(758)にその塩漬が出ています。日本最古のスパイスといえます。そして発汗、解熱、健胃作用の効果から薬用としても使われてきました。この生姜に大腸ガンを抑える効果のあることが岐阜大学 森秀樹教授により明らかにされました。生姜の主成分ジンゲロールが食事量の0.02%で生体の遺伝子が発ガン物質にさらされる初期の段階で発ガン物質を解毒するというものです。生姜中のジンゲロール含量は1〜3%といわれていて日本人は1日に食べる食事の量は1.5・ですから生姜1日10〜30g食べれば良い事になります。爽快な生姜漬を楽しみましょう。