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漬物について

執筆
宇都宮大学名誉教授
全日本漬物協同組合連合会常任顧問
前田安彦

漬物はとにかく低塩に、そして美しくなりました。

漬物と食塩

漬物はとにかく低塩に、そして美しくなりました。 漬物と食塩  日本人は1日に食塩を13g攝っています。厚生省の言う理想は10g、やや多いのです。食塩は日本人の半数の人にとって高血圧の原因になり残りの半分は影響なしとされています。ただ自分がどちらに属するか医学的に判断がしにくいので食塩は控えた方がよいのです。日本人はどのような食品から食塩を攝っているのでしょうか。調査によると1日の摂取量は13gのうち醤油3.5g(26%)、味噌2g(15%)、塩乾魚1.5g(12%)、そして漬物1g(8%)となっています。醤油は例えばラーメンを汁まで飲めば店頭では8g、インスタント麺で6gの食塩が体内に入ります。 醤油、味噌、漬物と高塩商品の代表として槍だまに、上がりますが漬物由来の食塩は1日1gと少ないのです。それは日本人の労働量低下により食塩嗜好が変わり漬物も高塩でつくるとノドが通らないので低塩化が進んだからです。白菜漬の食塩が20年前の4%から現在2%へ、たくあんが5%から3%へと減っています。表1に漬物の食塩含量と1g相当分の重量、量の目安を示してみました。意外にたくさん食べられることがおわかりでしょう。

表1 漬物の食塩含有量と、食塩1gで食べられる量の目安
品名
%
食塩1g相当
甘酢
ラッキョウ
1.5 大玉5個
67g
甘酢生姜 1.5 大玉5個
67g
白菜漬 2.0 小鉢山盛り
50g
白菜キムチ 2.2 小鉢山盛り
45g
野沢菜漬 2.2 中株
半分
45g
茄子浅漬 2.3 中型
1個
43g
べったら漬 2.5 厚切り
3切れ
40g
奈良漬 3.0 大4切れ
35g
干たくあん 3.0 4切れ
30g
塩押したくあん 3.0 3切れ
30g
福神漬 3.5 1/4袋
28g
古漬高菜 4.0 小鉢半分
25g
胡瓜刻み
醤油漬
4.5 1/5袋
22g
味噌漬 5.5 厚切り
3切れ
18g
漬物の食塩含有量と、食塩1gで食べられる量の目安
品名
1個重量
1個食塩量
カリカリ小梅 8 2g 0.2g
調味梅干 8 15g 1.2g
カリカリ梅 10 8g 0.8g
カツオ梅干 10 10g 1.0g
小梅干 15 3g 0.5g
本格梅干 18 20g 3.6g

日本人の食生活は油脂過剰、濃厚調味で「食生活の疲れ」を重く感じるようになっています。昔はご馳走だったステーキ、酢豚、シチュー、すき焼きと回りは「コテコテ料理」ばかりです。この反動で消費者は飲む酒類を吟醸酒だの「スーパードライ」「一番搾り」に代表される軽快なビール、フレッシュ・アンド・フルーティのヌーボータイプのワインに切り替えています。 食塩1gで小鉢1杯の50gの白菜が食べられることは、この「食生活の疲れ」をいやす上でも嬉しいことです。漬物の低塩化はおまけとして全て明るくきれいな外観になりました。低塩での漬物製造は塩の防腐性が減ってすぐいたむので冷蔵庫重視の低温製造に切り替わりました。低温の積極的利用で漬物は酸の生成が抑えられ野菜の原色や新鮮な香りが保てて明るさと「フレッシュ・アンド・フルーティ」をもたらしました。消費者の嫌う合成着色料が不要になったケースも多いのです。低温は微生物が抑えられ、漬物の袋の中に入っている注入液は菌がいないので全くの透明で漬物を美しく見せてくれます。 食塩の心配をしないで明るく美しい漬物がたくさん食べられるようになりました。漬物を見て食欲を奮い立たせてご飯を食べ、元気に働こうではありませんか。