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全漬連第15回地域特産品委員会開く
[提供:食料新聞]

 

盛大に開催された地域特産品委員会

試食展示された九州の特産漬物

全漬連第15回地域特産品委員会

全日本漬物協同組合連合会・地域特産品委員会(前田節明委員長)が10月3日14時より、宮崎県宮崎市の「宮崎観光ホテル」において盛大に開催。今回で15回目となる大会は15都府県から55名が参加し、会場には九州各県の特産漬物の試食が用意された。基調講演には宇都宮大学・前田安彦名誉教授を招き、宮崎の沢庵・らっきょうについての事例報告と全国各地区からの意見交換会など、充実した内容で大成功を収めた。

地域特産品委員会は、宮崎県・大久保次郎専務理事の司会で、同委員会・藤崎茂実副委員長が開会の辞を述べて開幕。まず挨拶に立った全漬連・秋本幸男会長は、全漬連の主要事業である同委への参加者に謝辞を述べ「この委員会も年々盛り上がりを見せている。どの県へ行っても地元の特産品を育てようという意気込みが感じられ、大変感動を受けている」と語った。

また、消費量が減退し、価格競争が激化している漬物業界を敷延し「漬物の需要を回復させる重要な方策のひとつが、地域特産品の振興」と語り、宮崎の特産品である沢庵・楽京に対する期待感を述べてあいさつを終えた。

次にあいさつした前田委員長は、まず野ア伸一理事長はじめ主管した宮崎県組合に感謝を表し、今年起きた自然災害・天候不順等に言及。「新燃岳の噴火、東日本大震災、春雨前線等による高温多雨など、産地は大きな痛手を被った。地域特産品は、産地・生産者があってこそ。原料が海外産だと、地域特産品委員会の役目は果たせなくなる」と語り、国内原料を持続させるために、農家の育成・産地育成が必要不可欠と述べた。

続いて野ア理事長が「宮崎はご承知の通り農畜産県だが、鳥インフルエンザ、口蹄疫など立て続けに被害を受け、地域経済は疲弊している。今回の会議で皆様をお迎えできて、衷心より感謝申し上げる」と歓迎の意を表した。

第一部の基調講演は、前田名誉教授が「地域特産品漬物の振興への取り組み」の演題で講演。まず総論として漬物全般について「漬物は、15種類の野菜と5種のタレで作られる50種の漬物以外に、さらに強い定番漬物の誕生が待たれる」と説明した。

続いて各論として、宮崎特産の沢庵およびらっきょう漬について解説。その中で「大根は、辛味成分の働きで味・香り・色と3つに変化する。これは他に類がなく、大根は野菜の王様」と力説。

干し沢庵は半切り包装および劣化防止、塩押し(生)沢庵は 「2度漬、3度漬して、こなれ(物性)の良いものにできるかがポイント。また、干し・塩押しともに、殺菌不良に注意」と説明した。

らっきょう漬については、「硫黄化合物の機能性は、抗菌性、血栓防止、発がん抑制、解毒酵素の促進などが証明されてきている。甘酢やピリ辛は乳酸発酵の香りが決め手、反対にレモンらっきょうなどのフルーツ系はこの香りが邪魔になるの   で、目的によって塩度の管理を行う。完成品のポイントは歯切れ、調味の巧拙、液の清澄度」など、詳しく解説した。

第二部「地域特産品振興の取り組みと意見交換会」では、まず4組5名の発表者が、それぞれの取り組みを報告した。以下要約。

▽キムラ漬物宮崎工業(株)・木村昭彦専務、干し沢庵につ  いて〓「伊勢、渥美と産地が移り、現在は南九州が最終生産地。平成3〜4年頃がピークで以後減少。料理素材や、食育テーマ『噛むこと』の効用をPRすべき。限定(レア感)の演出などがキーワード」

▽九州農産(株)・梅元寿敏課長、塩押し(生)沢庵漬について〓「11〜2月にかけ、一押し〜三押し工程までじっくり漬け込む(歩留まり50%)。伝統食品、加工度の高い食品として価値観のPRが必要。地域色をつくるにはオンリーワン、ナンバーワンのストーリー性がポイント」

▽(有)大薗漬物店・大薗和久社長、霧島食品工業(株)・森山光広常務、らっきょう漬について〓「栽培収穫、製品加工(ヘタ切り)に労力がかかる。産地減少への解決策として、高付加価値商品の開発が不可欠である。メーカー6社の統一ブランドで、新しい販路の開拓を計画。フルクタンなど、食物繊維の効能PRも必要」

▽(株)森物産・森隆博社長、阿蘇たかな漬の地域団体商標について〓「昭和52年、組合設立。平成19年2月に阿蘇たかな漬の地域団体商標を登録。地域ブランドは消費者の信頼で成り立つ。登録後に品質や評価を下げない努力が最も必要で、ブランドの価値そのものが失われてしまえば意味をなさない」

次に、前田委員長、同委担当の近清剛全漬連副会長が議長席に着き、意見交換会が行われた。九州以外からの出席・発言者は以下の通り。(名簿順、敬称略)

▽石田俊((有)いした・青森)▽遠藤純二((有)秋田農産・秋田)▽箱崎俊介(ハコショウ食品工業(株)・岩手)▽皆川昭弘(東京中央漬物(株)・東京)▽深山喜一((株)みやま食品工業・千葉)▽林野雅史(堺共同漬物(株)・大阪)▽川勝康行((株)川勝總本家・京都)▽河島歳明((株)河島本家)▽猫島栄秀((株)猫島商店・広島)▽彈正原俊郎(マルカ食品(株)・香川)

現況の報告では、関東以北は東日本大震災の傷跡がまだ色濃く残っている状況が次々と報告され、改めて影響の大きさを思い知らされる形となった。また、台風や長雨による原料野菜不足の状況も多数報告された。

一方、大阪の水なす漬が「大阪もん五つの星大賞」で2位にランクインしたこと、広島菜は組合で農業法人と契約する産地育成などを視野に入れていること、九州の高菜漬は、干し大根やたばこ栽培から高菜栽培に切り替わり、増反が見込まれること‐などが報告された。

続いて、近担当副会長が報告を総括し、「地域特産品は、地域の人々に認められ、100年単位で歴史に沿うものでなければならない。奇をてらわず、良い原料で本物の漬物を作ることが、地域の食文化と国土を守ることにつながる」とまとめた。

最後に、同委・林野雅史副委員長が閉会の辞を述べ、大会は終了。別室に移動し、懇親会が設けられた。まず、全漬連・泰地武副会長が「秋本会長も申し上げました通り、この委員会は全漬連の最重要事業のひとつ。地域特産品にもいろいろあるが、旬の野菜で作るのがいちばん美味しい。それぞれの地域が切磋琢磨して頑張っていただきたい」とあいさつした。

乾杯発声を福岡県・楢橋達成理事長が音頭をとって開宴。長く歓を尽くしたが、中締めで鹿児島県・水溜政典理事長が、被災した東日本地区を励ます一本締めの音頭を取って、お開きとなった。

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